サッカーの話をしよう
No.704 三度目の正直
「三度目の正直」という言葉がある。古くは「三度目は定(じょう)の目」と言ったらしい。勝負事や占いで、一度目、二度目はあてにならないが、三度目は確実であることを意味する。
ワールドカップアジア最終予選の組分けと日程が決まった。9月6日から来年の6月17日まで、バーレーン、ウズベキスタン、カタール、そしてオーストラリアを相手に戦う。厳しい戦いはどんな組分けでも同じ。それよりも、サウジアラビアとの抽選で勝って「第2シード」にはいったことに意味がある。
5チームのホームアンドアウェー。全10節で毎節1チームは休みになり、どこに休みがはいるかで厳しさが違う。とくに10節のうち3回ある土曜、水曜という中3日の連戦は、「極東」に位置する日本にとって苦しい日程になりかねなかった。「第2シード」にはいったことで、3回の連戦のうち2回を回避できたのは大きい。
あまり取り上げられていないが、今回の最終予選に向け、Jリーグは日程面で大変な協力をしている。水曜日に予選が行われる前週の週末をリーグ日程から外したのだ。その結果、10月のウズベキスタン戦(ホーム)と11月のカタール戦(アウェー)の前には、1週間半もの準備期間が岡田監督に与えられた。
懸念は、11月のカタール戦と来年2月のオーストラリア戦(ホーム)が、ともに国際サッカー連盟の「親善試合日」にあたることだ。クラブは試合の48時間前までは選手を手元にとどめておくことができる。そうなれば、中村俊輔(セルティック)らの日本代表合流は試合前日になる。選手たちが所属するヨーロッパのクラブと早めに交渉を始め、協力を得る必要がある。
だが差し当たって最大の心配は9月6日のアウェーでのバーレーン戦の開始時間だ。3次予選ではアウェーのキックオフ時間も日本のテレビ局の都合で決められた。その結果、中東オマーンの6月に、5時15分という「ありえない」時間のキックオフとなった。強い日差しと38度の暑さに日本は苦しんだ。
このことは3月のバーレーン戦の反省から本コラムで取り上げ、警告も発した。だがテレビ局にはサッカー以上に大事なものがあり、非人道的なキックオフ時間に異を唱える者もいなかったようだ。
9月のバーレーンも6月のオマーンと同じような猛暑だ。「三度目」は「定の目」で、良識ある開始時間になることを期待したい。
(2008年7月2日)
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