サッカーの話をしよう
No.775 2万人を突破するために
年が明けたと思ったら、早くもJリーグのクラブがトレーニングを開始した。J1、J2計37クラブの先頭を切って、浦和レッズが11日に始動したのだ。
18シーズン目のJリーグ。ギラヴァンツ(旧ニューウェーブ)北九州を加え、J1が18、J2が19、計37クラブとなった。旧日本サッカーリーグ以来27シーズンも日本のトップリーグの地位を守ってきたジェフ千葉が、柏レイソル、大分トリニータとともにJ2に降格、代わってベガルタ仙台、セレッソ大阪、そして湘南ベルマーレがJ1に昇格する。
J1、J2など全公式戦を合わせて入場者総数年間1100万人(イレブンミリオン)を目指すJリーグ。昨年は962万3584人を記録したが、「看板」のJ1の入場者は1試合平均1万9127人。前年より、わずか(152人)ながら減少した。
世界をリードするヨーロッパのサッカーリーグは、テレビ放映権料の高騰で収入を伸ばし、世界中からスター選手を集めることに成功した。だがJリーグの放映権料はヨーロッパの一流クラスと比較すると10~20分の1程度にすぎない。長引く不況でスポンサー収入の伸びも見込めず、どのクラブも厳しい経営が続いている。
この状況で大事なのは「仲間」を増やすこと。サッカーファン、クラブのサポーターを増やし、一人でも多くスタジアムに足を運んでもらうことだ。満員のすばらしい雰囲気のなかで試合をしていれば、やがて経済が上向いたときスポンサーも放映権収入もついてくるはずだ。J1では過去にない1試合2万人以上を実現することが今季の目標だ。
ではどんなことをしたら観客が増えるのだろうか。ひとつのヒントを昨年南アフリカで見た。「フットボールフライデー」。金曜日には何でもいいからサッカーのユニホームを身に着けるという運動だ。職場が、学校が、そして街角がカラフルなユニホームであふれ、ワールドカップの話題が盛り上がり、関心も増しているという。
たとえば浦和で、ホームゲーム前日に、翌日スタジアムに行かない人もどこかに赤いものを身に着けるという運動はどうだろうか。Jリーグ新加入の北九州なら、当然黄色(ギラヴァンツのクラブカラー)だ。
うまく広まれば町の人びとの心をつなぎ、ウキウキするような空気が生まれるだろう。そしてそれは、必ず観客数増にも結び付く。
(2010年1月13日)
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