サッカーの話をしよう
No.800 Jリーグ 不公平な「中2日」
「FC東京の城福監督や京都の秋田監督も言っていたが、どうして日程をそろえられないのか...」
ホームで浦和に1-4で敗れた後の記者会見の冒頭、湘南・反町康治監督は訴えかけるように語った。
自らのうかつさが恥ずかしかった。ワールドカップによる日程の圧縮で、J1は7月と8月にいちどずつ「ウイークデー開催」がはさまれた。どのチームにとっても厳しさは同じと思っていたが、その日程にとんだ「不公平」があったのだ。
この日、浦和が「中3日」だったの対し、湘南は「中2日」。前半はなんとか踏ん張ったが、後半になると次々と守備を破られ、失点を重ねた。
水曜日に試合をして次節が土曜だと「中2日」となる。試合翌日を回復にあてると、その翌日はもう試合前日だ。そのうち1日が移動にあてられることも多い。「中3日」なら回復度も違う。1日の差は非常に大きい。
この夏、J1では延べ41チームが「中2日」での試合を余儀なくされた。そして驚くことに、その半数の延べ21チームが、「相手は中3日以上」だった。結果は4勝5分け12敗。総得点22、総失点41。試合の後半の失点は30点にものぼった。
12敗のうち、ホームゲームが7つあった。ホームで戦う利より、試合間隔が相手より1日少ない不利のほうが大きかったのだ。
しかもそうした日程が非常に偏っていた。川崎、京都、C大阪が各3回、大宮、FC東京、湘南、神戸、磐田の5チームがそれぞれ2回こうした状況があったのに対し、仙台、山形、鹿島、浦和、新潟、名古屋、G大阪、そして広島の計8チームは1回もなかった。
その一方、新潟は4回、名古屋は3回も、自分たちが「中3日」で相手が「中2日」という状況があった。新潟の4試合はすべてがホームゲーム。成績は3勝1分けだった。
新潟や名古屋の好調さにケチをつける気はない。だがこれほどの不公平が生じたのは、日程づくりの段階でこうしたことが考慮に入れられていなかったためではないか。それとも、何かサッカー以外の理由で日程がゆがんでしまったのか...。
Jリーグのスタートから数年間は、毎週2試合行われていた。しかし全試合が土曜日と水曜日に行われ、不公平はなかった。
全チームがホームアンドアウェーで戦うリーグ戦は、「公平さ」を保証するためのシステムだ。こんな不公平はあってはならない。
(2010年8月25日)
1993年から東京新聞夕刊で週1回掲載しているサッカーコラムです。試合や選手のことだけではなく、サッカーというものを取り巻く社会や文化など、あらゆる事柄を題材に取り上げています。このサイトでは連載第1回から全ての記事をアーカイブ化して公開しています。最新の記事は水曜日の東京新聞夕刊をご覧ください。