サッカーの話をしよう
No.803 楽しみなアジアカップ2011
新監督も決まり、ワールドカップ後の活動を2連勝でスタートした日本代表。次回のワールドカップ(14年ブラジル大会)を目指すアジア予選は来年9月に始まるが、その前に重要な大会がある。アジア王者を決めるアジアカップ決勝大会だ。
4年にいちど、現在ではワールドカップの翌年に行われているアジアカップ。来年は1月に中東のカタールで開催される。
前回、07年に東南アジア4カ国の共同開催で行われた大会で、イビチャ・オシム率いる日本代表は圧倒的な力を見せたが、準決勝でサウジアラビアに敗れて4位にとどまった。今回はそれを上回り、4回目の優勝を目指したいところだ。
1956年に第1回大会が行われたアジアカップ。日本は68年大会で初めて予選に出場し、20年後の88年にようやく決勝大会初出場を果たした。だが1分け3敗、得点0失点6という惨敗。強豪国のナショナルチームが集まる大会に、いろいろな事情で大学生中心のチームを送らなければならなかったからだ。
初めて本格的に力を入れて参加したのは92年広島大会。3連覇を目指すサウジアラビアを下して初優勝を飾ると、2000年レバノン大会、04年中国大会も制覇し、イランとサウジアラビアに並んで優勝3回となった。
さて来年の決勝大会は日本の大学選抜が惨敗を喫した88年大会以来23年ぶりのカタールでの開催。16チームが参加し、1月7日に開幕、29日に決勝戦という日程だ。日本はB組にはいり、ヨルダン、シリア、そしてサウジアラビアと対戦する。
ヨルダンは04年大会の準々決勝で対戦し、1-1からGK川口能活のスーパーセーブ連発で奇跡のPK戦勝利を得た相手。FIFAランキング98位とはいえ、甘く見ることはできない。シリアもアジアの舞台ではクラブの活躍が目立っている。
だが最大の難関は何と言ってもサウジアラビアだろう。5大会連続のワールドカップ出場を逃して以来、ポルトガル人のペセイロ監督が大幅に若返りを断行、ことし5月にはスペインに2-3という奮戦を見せた。
1月のドーハは最高気温が20度に達せず、試合が行われる夕刻から夜にかけては10度を切るという。ヨーロッパのクラブに所属する選手を呼ぶことができるか、シーズン終了直後でコンディションはどうか、いくつも心配はあるが、同時に、ザッケローニ監督がどんな手腕を見せるか、楽しみも大きい。
(2010年9月15日)
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