サッカーの話をしよう
No.853 ワールドカップ予選に挑むペルー
世界の6地域連盟のうち最も壮大で最もハードなワールドカップ予選が始まる。今週金曜日、10月7日にスタートする南米予選だ。
南米サッカー連盟加盟国はわずか10。以前はグループ分けして開催していたワールドカップ予選を、94年フランス大会以来、全チームのホームアンドアウェー総当たりで行うようになった。
今回は開催国ブラジルが参加しないため9チームによる予選大会だが、それでも再来年の10月まで実に25カ月間にわたり、全18節、72試合が行われる。
ブラジルは出ない。しかしそれ以外の南米に割り当てられた出場枠は前回までと同じ4・5。今回の予選で5位になったチームがアジアとのプレーオフを勝ち抜けば、ブラジルを含めて6カ国に出場権が与えられる。
なかでも期待が高まっているのが、前回予選ではわずか3勝、最下位に終わったペルーだ。ことし7月に行われたコパアメリカ(南米選手権)で3位という好成績を残した。
率いるのは9人のライバル監督中最年長、66歳のセルヒオ・マルカリン。かつてのスター選手が多いなかで、プロ選手の経験皆無という変わり種だ。
ウルグアイ国籍だが育ったのはアルゼンチン。ユース年代までDFとしてプレーしたが、大学卒業後石油会社に就職して29歳までエリートビジネスマンとして活躍した。しかし74年ワールドカップで祖国ウルグアイがオランダに完膚無きまでに叩かれるのをテレビで見てサッカーのコーチになることを決意、あっさりと退職した。
最初は「ベンツを売り払ってバス通勤」という日々だったが、やがて力を認められ、パラグアイやペルーでクラブの監督として成功する。そして99年にはパラグアイ代表監督に就任、02年ワールドカップの予選突破を果たす。しかし本大会を前に解任される。
ことし6月のキリンカップで来日。しかし目前のコパアメリカは眼中になく、「ワールドカップ出場だけが目標」と語った。
ドイツのハンブルガーSVに所属し、コパアメリカでは5得点を挙げて得点王となったFWパオロ・ゲレーロを中心に、強力な攻撃陣をもつペルー。
「マルカリン監督がチームに規律をもたらし、ペルーはメンタル面で大きく成長した」と主将のゲレーロ。
82年スペイン大会以来、実に32年ぶりのワールドカップ出場に向け、今週金曜、ペルーは首都リマに強豪パラグアイを迎えて予選の口火を切る。
(2011年10月5日)
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