サッカーの話をしよう
No.940 楽しみな東アジアカップ
連日猛暑の日本とは対照的に、朝鮮半島では梅雨前線が南北に移動を繰り返しながら豪雨を降らせ、各地で被害を出しているという。その韓国で、20日(土)に「東アジアカップ」が始まる。
アジアサッカー連盟の下に位置する東アジアサッカー連盟(EAFF)の選手権。男女の大会を同時に行う世界でも珍しい形式だ。
EAFFは02年設立。翌年に日本で第1回大会が開催された。この第1回大会は男子だけだったが、05年に韓国で開催された第2回大会から女子も組み入れられた。
EAFFは加盟10カ国。日本、韓国、中国の3カ国は、2ないし3年ごとに大会を持ち回りするだけでなく、男子はシードされて予選なしで出場する。その他の7カ国による予選に今回はオーストラリアが招待され、見事勝ち抜いて初出場することになった。女子のシードは日本、韓国と北朝鮮の3カ国。中国は予選でオーストラリアを下しての出場だ。
過去4回、ホームで2回(03年に続き10年にも開催)も戦いながら、日本男子は、中国と韓国に2回ずつの優勝を許し、まだ優勝がない。一方女子は、佐々木則夫監督が就任した直後の08年中国大会で初優勝、10年日本大会で連覇を飾った。
3連覇を目指すなでしこジャパンは故障のMF澤穂希(INAC神戸)を除く最強の布陣。ドイツのポツダムからイングランドのチェルシーへの移籍が決まったFW大儀見優季も、新チームへの合流前に韓国で奮闘する。
一方の男子は、この大会が国際サッカー連盟の公式日程にはいっていないため、欧州のクラブから選手を招集することができず、Jリーグ勢だけでチームを組む。ザッケローニ監督は「今回は新しいメンバーにチャンスを与える」と、6月のコンフェデ杯(ブラジル)に参加した9人のJリーグ勢のうちベテラン5人も休ませ、初招集10人を含む23人を7月15日に発表した。
現在の日本代表の弱点はFWの人材不足。FW豊田陽平(鳥栖)、FW大迫勇也(鹿島)FW柿谷曜一郎(C大阪)ら期待の新規メンバーのうちから「ワールドカップのエース」が誕生するか。若手が先輩からポジションを奪う勢いこそ、チームを急成長させる力であり、コンフェデ杯で3連敗に終わった日本代表に最も必要な要素に違いない。
取材に行く身としては韓国の梅雨明けがいつになるかも気になるが、それ以上に男女とも興味尽きない東アジアカップだ。
(2013年7月17日)
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