サッカーの話をしよう
No.970 『J-22』若手に実践の機会を
3月の声とともにJ1とJ2が開幕。9日(日)には注目のJ3もスタートを切る。
12チームで開幕を待つJ3。そのうちのひとつは、これまでのJリーグのチームとは大きく違う。「クラブ」ではないのだ。
「JリーグU-22選抜」。若手に実戦経験を積ませることを目的に、日本サッカー協会が運営する。J1の18クラブ、J2の22クラブ、計40のクラブで公式戦に出られない若手選手から試合ごとに16人を選んでJ3の試合に参加するという。
かつては「サテライトリーグ」があり、若手が経験を積む舞台になっていた。だがそのための選手を保有しなければならないなど問題が多く、現在は実施されていない。
選手は試合で育つ。有望な若手プロにどう実戦経験の機会を与えるかは日本サッカーの大きな課題だった。J3誕生に合わせてひとつの解決策が示されたのが「J-22」だ。
本来「22歳以下」だから、今季は1992年生まれ以降の選手のはず。しかし2016年リオ五輪に向けての強化を考え「1993年以降」で編成することにした。監督はJリーグで監督経験をもつ高畠勉。先月24日に登録選手を発表した。J1から53人、J2から36人、計89人のリストだ。
ただし、川崎のMF大島僚太、清水のGK櫛引政敏、C大阪のMF南野拓実、神戸のDF岩波拓也、湘南のDF遠藤航など、各クラブが主力と予定している選手は最初からリスト外とされた。
J3は原則として日曜日開催。木曜夜に各クラブと連絡を取り合って週末のリーグ戦のメンバー(18人)にはいらない選手から16人を選び、金曜日に集合、土曜日に練習をして試合に臨む。ホームスタジアムはなく、すべての試合を相手のホーム、すなわちアウェーでこなす。
3月1日と2日にJ1とJ2の合計20試合が開催されたが、89人のうち先発したのが14人、交代出場が9人、そしてベンチ入りしながら出場できなかった選手が9人だった。もしこの週末にJ3の試合が行われていたら、この32人を除く57人が選考の対象だった。
注目の初戦は3月9日、沖縄県陸上競技場での対FC琉球。キックオフは15時10分。テレビの生中継もある。
「初めての試みで予測がつかない部分もあるが、精いっぱいやって優勝を目指したい。ここで活躍して、『こっちで使うからもう出せない』と所属クラブから言われるようになれば本望」と、高畠監督は意欲満々だ。
(2014年3月5日)
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