サッカーの話をしよう
No.1013 ACLが始まる
アジアのクラブチームに公式の、すなわちアジアサッカー連盟(AFC)が定めた「ランキング」があることをご存じだろうか。
過去4年間のアジアチャンピオンズリーグ(ACL)での成績をポイント化し、「所属協会(MA)ポイント」を加えて算出した数字に基づくランキング。現在の首位はサウジアラビアのアルヒラル。2014年ACL準優勝チームだ。2位はFCソウル(韓国)、3位アルイテハド(サウジアラビア)、4位広州恒大(中国)と続く。残念なことに、日本のクラブでは、2013年に準決勝に進出した柏レイソルの16位が最高位だ。
2007年に浦和レッズが、そして2008年にガンバ大阪がACL優勝を飾り「アジアにJリーグが君臨する時代が到来」との予感もあったが、その後は決勝進出チームも出ず、早い段階での敗退が続いている。
2002/03シーズンに第1回大会が行われ、第2回の2004年から単年の大会となったACLはことし第13回目。日本のクラブは最初の4大会でグループステージさえ突破できなかった。極東に位置し、どんな相手と対戦しても長い旅行を必要とするハンディに加え、競争が厳しいJリーグとの両立が難しかったからだ。
しかし2007年に浦和が初出場で優勝を飾り、翌年にはG大阪がアウェーで圧倒的な強さを見せて優勝。一挙に国内での注目が高まった。その翌年の2009年には大会方式が大幅に変更され、日本からは4クラブが出場できるようになってさらに期待された。
ところがそこから再び勝てなくなった。2009年には4チームともグループを突破し、名古屋グランパスが準決勝に進出。だが翌年は2チームがグループで敗退、残る2チームもラウンド16で終わった。2013年には柏が準決勝まで残ったものの、韓国や中国のクラブの成長もあって他の3クラブはグループで討ち死にした。
過去12大会に日本から延べ37クラブが出場し、259試合を戦って126勝56分け77敗。総得点475、総失点306。最多は6大会出場のG大阪で45戦して24勝8分け13敗。得点は101にもなり、失点は54。鹿島の5大会、32戦18勝7分け7敗が続く。
来週の火曜日に開幕するACL2015のグループステージ。今季は、過去に優勝経験をもつG大阪、浦和、そして6回目の挑戦で初優勝を狙う鹿島に加え、2月17日のプレーオフでタイのチョンブリを下した柏が参戦する。どのクラブにもアジアでの豊富な経験があり、7年ぶりの日本勢優勝は十分期待できる。
アジアのベスト10に3つか4つはいってもおかしくないはずの日本のクラブ。「巻き返し」はなるか?
(2015年2月18日)
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