サッカーの話をしよう
No.1095 2016 J2大混戦の終盤
J2(Jリーグ2部)が大変なことになっている。
22チームのホームアンドアウェー方式。全42節の40節を終わって、J1への昇格もJ3への降格もまったく見通しが立たない状態なのだ。
J1への昇格は3チームだが、自動的に昇格できるのは2チームだけ。3位になると4チームによる過酷な昇格プレーオフに回る。過去4年間行われてきたプレーオフで3位チームが勝ち抜いたのは昨年の福岡だけ。12年と14年には6位チームがJ1への最後の一座を獲得している。
今季のJ2では、5月に札幌が首位に立ち、以後ずっとその地位を守ってきた。8月末には2位松本に勝ち点9差をつけて独走状態だった。しかし10月中旬から急に勢いが落ち、以後の5試合は1勝1分け3敗。11月6日に徳島に敗れると、ついに勝ち点81で松本に並ばれた。
この間、松本は4勝1分け。チームを率いて5シーズン目の反町康治監督仕込みのハードワークでしぶとく勝ち星を重ね、1年でのJ1復帰に集中している。
ところが、終盤にきてこの2チームを脅かす存在が出てきた。10月以来7連勝で勝ち点を78に伸ばした清水だ。鄭大世と大前元紀の「ダブルエース」が絶好調で、7連勝する間に2人で13得点。上位2チームとの勝ち点差は残り2試合で3(1試合分)あるものの、得失点差では圧倒的にリードしており、札幌か松本が1試合でも落とせば逆転する可能性は十分ある。
3位から6位の4チームで行われるプレーオフが決まっているのはC大阪と京都の2チームだけ。あと2チームの決定は11月20日の最終節までもつれ込む可能性が高い。
J2残留争いも熾烈だ。最下位(22位)が自動降格で21位はJ3の2位と入れ替え戦を戦うが、残り2試合で7つものチームが入れ替え戦どころか自動降格の危機からさえ抜け出せていない。なかでも19位岐阜から22位金沢まで4チームのの勝ち点差はわずか3。過去5節、毎節順位が入れ替わるつばぜり合いのなかで終盤まできてしまった。
J2の残り2節は、12日と20日に一斉に行われる。今季のJ2はこれまでの40節(計440試合)で300万6256人(1試合平均6832人)の観客を集めているが、終盤の2節22試合の大半に各チームの明暗がかかっているだけに、昨年の316万2194人(平均6845人)を上回る最多記録を達成する可能性は十分ある。
史上まれに見る激戦となったJ2。1シーズン、40試合を戦い抜いて蓄積した疲労はピークに達しているだろう。しかし「ラスト2」に向け、どのチームも集中力を最大限に高めているに違いない。
(2016年11月9日)
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