サッカーの話をしよう
No.1108 近づくJリーグキックオフ
冷たい西風のなか、日が一日一日と長くなる。それは近づくJリーグ開幕の足音だ。
25シーズン目のJリーグが開幕する。18日の富士ゼロックススーパーカップ(鹿島×浦和)を皮切りに、2月25日にはJ1が、翌日にはJ2が、さらに3月11日にはJ3が開幕する。
アスルクラロ沼津(静岡県)がJ3に昇格、今季、Jリーグは全54クラブになった。1993年のスタート時にはわずか8府県に10クラブだった。それが25シーズン目で全国38の都道府県に54クラブにもなるとは、強気の初代チェアマン川淵三郎さんでも予想しなかっただろう。
昨年12月に鹿島アントラーズがFIFAクラブワールドカップで決勝に進出する大活躍を見せたことで、Jリーグの実力が大きく見直され、同時にJリーグ・クラブの目も世界に向き始めている。
「本格的な大競争の時代に突入する」(村井満チェアマン)ため、賞金だけでなく総額28億円もの「強化配分金」が上位チームに分配され、今後ハイレベルな外国人選手の獲得に使われることになる。
「Jリーグは世界で最も競争が激しく、難しいリーグ」と、外国人監督たちが口をそろえて語る。
毎年のように優勝争いに加わるチームも、毎年残留争いに巻き込まれるチームも、たしかに存在する。しかしそうしたチームが対戦しても必ずしも優勝争いの常連が勝つとは言えないのがJリーグだ。
「ヨーロッパではホームチームの勝率は6割。しかしJリーグでは5割。世界でいちばん競争が激しいエキサイティングなリーグだ」
今季からインターネットを通じてJ1~J3の全1040試合を生中継する英国「DAZN」のジェームズ・ラシュトンCEOは、10年間で2100億円という巨額の投資の理由をそう説明する。
昨年のチャンピオン鹿島はMFレオシルバなど大型補強に成功、Jリーグ連覇とともにアジア初制覇を目指す。対抗するのは、昨年リーグ最多記録に並ぶ勝ち点74を挙げ、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督6シーズン目で戦術をさらに練り上げた浦和か、それとも、FW大久保嘉人など鹿島以上の大補強でチームを一新したFC東京か...。
Jリーグには、J2から昇格して1年目で優勝という例が過去に2チームある。ことしJ1に昇格したC大阪が、日本のサッカーを熟知する尹晶煥(ユン・ジョンファン)新監督の下、スペインから戻ってきたMF清武弘嗣らの力を結集して優勝争いに加わる可能性も十分にある。
開幕時には少し寒いかもしれない。しかしすぐに春の風がピッチを吹き渡る。そしてあっという間に、熱気がスタジアムを包み込む。
(2017年2月15日)
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