サッカーの話をしよう
No.1119 10年ぶりのU-20ワールドカップ挑戦
日本にとって10年ぶりの男子U-20(20歳以下)ワールドカップ開幕が迫ってきた。韓国の6都市を舞台に、5月20日に熱戦がスタートする。年代別のワールドカップとしては最も早く1977年に第1回大会が行われたU-20。第21回の今大会は「40周年記念大会」でもある。
10年ぶりのU-20ワールドカップ出場に導いた内山篤監督は、5月2日に21人の代表メンバーを発表した。中心は昨年10月にアジア選手権で初優勝を飾ったときの選手たちだが、15歳のFW久保建英(たけふさ)が「飛び級」で選出され、注目を集めている。
久保は2001年生まれ。本来ならことし10月にインドで開催されるU-17(17歳以下)ワールドカップ(日本はこの大会も出場権を確保している)のメンバーだが、内山監督が「同じ年代でプレーするレベルをはるかに超えている」と選出した。
才能に疑念はない。10歳からスペインの名門FCバルセロナの下部組織でプレーし、数々の大会でMVPに選ばれてきた。バルセロナの都合で13歳からFC東京の下部組織に所属しているが、18歳の誕生日を迎える2019年6月にはバルセロナに戻ることになっている。左足を操ってのドリブルとパス、そしてシュート。メッシを思わせるアグレッシブな姿勢は将来性十分だ。FC東京では、すでにトップチームでプレーしている。
だが170センチ、63キロの体はまだ細く、15歳という年齢相応のもの。体の大きな相手の激しい当たりに耐えてどんな活躍ができるのか、不安も小さくない。楽しみだが、たとえば試合終盤の出場でその才能の片りんを見せることができれば大成功だと思う。
今回のチームでより重要なのは、出場資格が1977年以降の生まれ、すなわち2020年に「U-23」となる「東京オリンピック世代」であることだ。DF中山雄太(柏)、MF堂安律(G大阪)、FW小川航基(磐田)などすでにJリーグで活躍している選手たちが初めての世界挑戦でどこまでもてる力を発揮できるか―。この大会が終われば2020年まで公式の世界大会はないだけに、1試合でも多く経験を積み重ねたいところだ。
日本はD組にはいり、21日と24日に水原で南アフリカ、ウルグアイと、27日には天安でイタリアと対戦する。
過去20大会中8大会に出場した日本。1995年からは7大会連続出場を果たし、1999年には準優勝という好成績を残してそれが2002年ワールドカップに直結した。だが2007年大会を最後にアジア予選敗退を繰り返し、ようやく今回予選を突破して出場権を手にした。10年ぶりの世界への挑戦。積極的なプレーでもてる力を出し尽くす戦いを期待したい。
(2017年5月10日)
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