サッカーの話をしよう
No161 75回目の誕生日に最高のプレゼントを
仲のいい友人がパーティーを開く。75歳の誕生日だという。すばらしいことだ。
そんなとき、「ごちそうは何が出るの」と聞く人はいない。どんなもてなしをしてくれるかよりも、とにかく「おめでとう」を言いに行きたいと思うのが普通だからだ。
日本サッカー協会は1921年(大正10年)9月10日に産声を上げ、来月でちょうど75五周年となる。「創立記念日」には、アジア各国や世界からゲストを招いて記念式典が行われ、翌11日には記念試合も計画されている。
「75年」という数字は中途半端に感じるかもしれない。だが国際的な感覚では「4分の3世紀」に当たり、70周年や80周年よりも重要な「節目」とされる。日本サッカー協会が71年の「50周年」以来の大々的な記念行事を行うのはそのためだ。
「ありがとう、そして未来へ」
75周年記念事業のキャッチフレーズだ。これまで日本のサッカーの発展に尽くしてきた先輩たち、応援してくれた日本とアジアと世界の人々に感謝し、同時に「100周年」を迎えるころにはさらに充実した組織にし、日本のサッカーを発展させようという決意の表現にほかならない。過去を振り返るだけでなく、将来に目を向け、サッカーに取り組む青少年の夢を育てようという、すばらしい言葉だと思う。
「記念試合」は9月11日水曜日に東京の国立競技場で開催される。日本代表対ウズベキスタン代表。キックオフは午後7時。
日本は92年アジアカップの優勝国、いわば「現アジア・チャンピオン」。一方のウズベキスタンは94年広島アジア大会の優勝チームだ。「代表チームのアジア・スーパーカップ」だが、今回は何よりも「日本協会の75歳の誕生日」を祝う試合である。相手がどこだろうと、ファンとしてはお祝いと応援に駆けつけたいところだ。
だが、ただ行くだけではつまらない。
友人の誕生パーティーに「プレゼント」をもって行かない人はいないだろう。たとえ「会費制」でも、何か贈ってお祝いの気持ちを伝えたいと思うはずだ。
サッカーの試合でも「プレゼント」をもっていくのは可能だ。それはファン一人ひとりからの「おめでとう」のメッセージだ。日本代表の応援旗もいいが、この日は「日本協会おめでとう」「祝75周年」などの応援幕が、スタンドいっぱいにほしい。スタンドで色紙を回してメッセージを書き、それを協会に送りつけるという手もある。
どんな方法でもいい。この試合では単なる観客、単なるサポーターではなく、「パーティーの参加者」になってほしい。日本中のファンがいかに日本のサッカーを愛し、日本協会を応援しているかを「表現」してほしいのだ。
実は、日本サッカー協会はこの「記念試合」でできるだけいい「もてなし」をしようと、世界の超一流クラスのナショナル・チームの招待を計画していた。残念ながらそれらの国とは日程が合わず、多少がっかりしているという。
そんなことは心配することはないと私は思う。日本協会の75周年を祝う試合なのだ。それさえわかればファンは喜んで駆けつけてくれる。
国立競技場を満員にしてスタンドから無数のメッセージを贈る。それは、日本サッカー協会の75周年に寄せる、日本中のサッカーファンからの最大で、そして最高の「プレゼント」になるに違いない。
(1996年8月26日)
そんなとき、「ごちそうは何が出るの」と聞く人はいない。どんなもてなしをしてくれるかよりも、とにかく「おめでとう」を言いに行きたいと思うのが普通だからだ。
日本サッカー協会は1921年(大正10年)9月10日に産声を上げ、来月でちょうど75五周年となる。「創立記念日」には、アジア各国や世界からゲストを招いて記念式典が行われ、翌11日には記念試合も計画されている。
「75年」という数字は中途半端に感じるかもしれない。だが国際的な感覚では「4分の3世紀」に当たり、70周年や80周年よりも重要な「節目」とされる。日本サッカー協会が71年の「50周年」以来の大々的な記念行事を行うのはそのためだ。
「ありがとう、そして未来へ」
75周年記念事業のキャッチフレーズだ。これまで日本のサッカーの発展に尽くしてきた先輩たち、応援してくれた日本とアジアと世界の人々に感謝し、同時に「100周年」を迎えるころにはさらに充実した組織にし、日本のサッカーを発展させようという決意の表現にほかならない。過去を振り返るだけでなく、将来に目を向け、サッカーに取り組む青少年の夢を育てようという、すばらしい言葉だと思う。
「記念試合」は9月11日水曜日に東京の国立競技場で開催される。日本代表対ウズベキスタン代表。キックオフは午後7時。
日本は92年アジアカップの優勝国、いわば「現アジア・チャンピオン」。一方のウズベキスタンは94年広島アジア大会の優勝チームだ。「代表チームのアジア・スーパーカップ」だが、今回は何よりも「日本協会の75歳の誕生日」を祝う試合である。相手がどこだろうと、ファンとしてはお祝いと応援に駆けつけたいところだ。
だが、ただ行くだけではつまらない。
友人の誕生パーティーに「プレゼント」をもって行かない人はいないだろう。たとえ「会費制」でも、何か贈ってお祝いの気持ちを伝えたいと思うはずだ。
サッカーの試合でも「プレゼント」をもっていくのは可能だ。それはファン一人ひとりからの「おめでとう」のメッセージだ。日本代表の応援旗もいいが、この日は「日本協会おめでとう」「祝75周年」などの応援幕が、スタンドいっぱいにほしい。スタンドで色紙を回してメッセージを書き、それを協会に送りつけるという手もある。
どんな方法でもいい。この試合では単なる観客、単なるサポーターではなく、「パーティーの参加者」になってほしい。日本中のファンがいかに日本のサッカーを愛し、日本協会を応援しているかを「表現」してほしいのだ。
実は、日本サッカー協会はこの「記念試合」でできるだけいい「もてなし」をしようと、世界の超一流クラスのナショナル・チームの招待を計画していた。残念ながらそれらの国とは日程が合わず、多少がっかりしているという。
そんなことは心配することはないと私は思う。日本協会の75周年を祝う試合なのだ。それさえわかればファンは喜んで駆けつけてくれる。
国立競技場を満員にしてスタンドから無数のメッセージを贈る。それは、日本サッカー協会の75周年に寄せる、日本中のサッカーファンからの最大で、そして最高の「プレゼント」になるに違いない。
(1996年8月26日)
1993年から東京新聞夕刊で週1回掲載しているサッカーコラムです。試合や選手のことだけではなく、サッカーというものを取り巻く社会や文化など、あらゆる事柄を題材に取り上げています。このサイトでは連載第1回から全ての記事をアーカイブ化して公開しています。最新の記事は水曜日の東京新聞夕刊をご覧ください。